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株式会社しまうまプリント

700万会員の会員ID統合基盤 認証認可サービスとして『Barista(バリスタ)』採用、運用規模に適した利用料設定と開発支援の手厚さが決め手

株式会社しまうまプリント

認証基盤顧客ID統合

株式会社しまうまプリントは、写真プリント、フォトブック、年賀状印刷、アルバム販売などのサービスを主要事業とする企業です。サービスのユーザーはWEBやアプリから写真をアップロードするだけで、手軽に高品質なプリントサービスを受けることが出来ます。これまでほとんどのシステムを内製で開発してきたというしまうまプリント。コンシューマ向け、法人向け、工場向けと幅広い対象に事業展開している中、コンシューマ向けの会員数が400万人を超え始めた2022年頃、会員ID統合、認証認可基盤については外部サービスを利用する方針に舵を切りました。

導入の目的
・会員ID統合、認証認可基盤を外部の専門事業者のサービスへ変更することで、セキュリティレベル向上
・複数サービスのシステム基盤について一律で対応出来るよう、リファクタリングを行う
導入内容
・会員ID統合基盤 認証認可サービスのプリズマティクス『Barista(バリスタ)』導入
・自社の複数サービス、ASPサービス、新規海外サービスへ導入
導入効果
・運用規模に適したアカウント料金設定のため、大幅な会員増でも想定内の予算組が可能
・手厚い実装支援により、スピード感ある決断、トラブルにも柔軟に対応出来た

2024年7月、しまうまプリントはコンシューマ向けサービスにプリズマティクスが提供する認証認可サービス『Barista(バリスタ)』を導入し、新たな会員認証基盤のリリースを行いました。2024年夏時点でサービスの登録会員者数は540万を超える会員数を抱えています。本プロジェクトを進めてきた執行役員、プロダクト開発部部長の関根氏に、抱えていた課題から今後の展望まで詳しくお話を伺いました。

時流に適した認証認可基盤の導入で、膨大な登録会員に安心できる環境を提供

しまうまプリントではシステムを内製することで事業の知見を社内に蓄積し、高品質なサービスをユーザーに提供しています。Webアプリやスマホアプリのシステム開発はもちろん、プリントサービスの肝となるデジタルデータをアナログにする変換の仕組み、また工場向けのサービス事業についても、工場システム含め全て内製しているとのこと。その開発範囲の幅広さは、一般的な「プリントサービス」という一言で表せるものではありません。コンシューマ向けサービス担当のエンジニアだけでも、70名程が在籍しているそうです。


2022年頃、世界で大規模で深刻なサイバー攻撃が話題になることが増える中、しまうまプリントも多くの企業と同様に危機感を持ち、セキュリティ強化や認証基盤の強化対策を検討し始めました。これまでも内製にて多要素認証、リキャプチャ等を一部のプロダクトに実装してきた同社ですが、IDaaSという言葉が普及し始めていたこともあり、SaaS等で利用出来る外部サービスの検討を行うことにしたそうです。既に決済に関わる部分については、APIサービスを利用してきた同社。専門性が高い共通基盤導入については柔軟に取り入れる素地があり、内製にこだわるということはしませんでした。

「これがもし1サービスだけの展開であったら内製のままだった可能性もありますが、弊社の場合アプリも色々あり、またASP展開もしているということで、各システムをそれぞれ改修していくのは非現実的だということになりました。検討を始めた時点でサービスは既に10年くらい長期稼働していたので、システムのリファクタリングを進めて機動力を上げていこうと、日頃からシステムの廃止と統合を繰り返していたので、社内の課題意識共有などはすんなり進められたのではないかと思います」(関根様)

手厚い支援が得られるサービスかどうかは、常に考慮する重要な点

会員ID基盤、認証基盤の導入について検討し始めたしまうまプリントは、主立ったSaaS事業者と打ち合わせを実施し見積もりを依頼。しかし当初イメージしていたコスト感とは乖離があり、文字通り“桁違い”であることがわかったそうです。そこで他の方法はないかと模索する中、知り合いのエンジニアからプリズマティクス『Barista(バリスタ)』の紹介を受けたとのこと。

「プリズマティクスさんからお見積もりを貰ったところ、某有名認証認可サービスと比べると10分の1くらいのコストでした。しかも国内企業ということで、為替レートでのコスト増減を考慮に入れなくても予算組みが出来る。これもメリットのひとつだと感じました。技術的な側面では、シングルテナントの専用環境の供出をしていただけることも安心材料でした」(関根様)

条件としては合致していましたが、今回は単に会員ID基盤を入れ替えるというだけでなく、長年稼働してきたシステムのリファクタリングが必須であるという側面もあったため、導入の容易さや、また実装に際してどのくらい支援が受けられるかも見極める必要がありました。基盤内製はしないものの、会員ID統合基盤 認証認可サービス『Barista(バリスタ)』の導入について実際に手を動かすのはしまうまプリントのエンジニアです。その複雑さは、社内でも未知のものでした。

「設計中に詰まった時、また導入後の初期トラブル等、どのくらい手厚いサポートが受けられるのかということは、今回に限らず導入検討において重要な点として常に考慮しています。プリズマティクスさんはお打ち合わせの段階から、技術的なことも聞いたらすぐ答えてくれそう、という信頼感がありましたし、PoCも実施していただけるということ等お伺い出来たことも、決め手のひとつとなりました」(関根様)

リファクタリングの指針を示した、会員ID統合基盤 認証認可サービス『Barista(バリスタ)』の仕様

ほとんどのシステムが内製開発されてきたしまうまプリントでは、個々のサービスが必要性に応じて自由に実装されてきたという経緯があります。事業面からは歓迎されるべきことですが、会員ID統合、認証認可基盤といったものを一律で導入したいという場合にはサービスを横断したリファクタリングが必要となります。

「これまでもリファクタリングは進めてきましたが、会員ID統合、認証認可基盤に関わる部分についてはどうしたら自分達にとって最も取り回ししやすいのか、それを考えるための基準が無く、なかなか着手できない状態がありました。今回プリズマティクスの『Barista(バリスタ)』に合わせてリファクタリングするということで、考える筋道が出来て、この課題にもある程度着手することが出来ました。結果的に2〜3パターンになってしまいましたが、これまでからするとかなり揃えることが出来たと思います」(関根様)

PoCを3ヶ月程かけて実施したことで、実際の実装前に懸念点をしっかり洗い出すことが出来たため、開発段階に入ってからはスムーズに進んだとのこと。週1回の定例ミーティングを実施する等で、プリズマティクスと密にコミュニケーションを取り、システム理解を共に進めました。その為、懸念点や疑問点に対するプリズマティクスからの回答が適切で、決断がしやすかったと関根様は語ってくださいました。

「弊社の場合サービスをメンテナンスにして一気に切り替えるというのが出来ません。リリースを分割して段階移行を行う計画を立てて、実施しています。いつも気をつけていることではありますが、今回の認証基盤は全ユーザが対象ですから、数も多く、計画も大変でした。実際に段階移行の初期で一度切り戻すというような事態も起こりましたが、事前に細かく計画をつくり、またプリズマティクスにもフォローいただいたので、大きな問題は起きずに進められたと思います」(関根様)

自社事業に関わるナレッジ蓄積を優先するのが、ベストプラクティス

「認証基盤という専門性の高いエンジニアリングについて、その専門性を得意とする企業と組んで実装するというのは、現在におけるベストプラクティスだと思います。ナレッジを社内に溜めていきたい、溜めるべきなのは、事業サービスに関わること。弊社の場合、ユーザー体験に直結するフロントエンドやモバイルアプリ、デジタルからアナログ商材に転換する画像処理や大規模なワークロードのコントロール、プリント工場の生産システムなどが注力ポイントです。もともと決済機能については、かなり前からAPIを使ってやってきました。これからもSaaSやPaaSに頼れるところは頼るべきだと思っています」(関根様)

しまうまプリントでは、個人認証、本人確認や実在確認という部分についても、内製から共通基盤化していくべきではないかという課題が社内で挙がっているとのこと。ユーザーの利便性を阻害せず、手軽に、使いやすい認証を提供しなければならない、そういう世の中の流れがあると思う、と語る関根様。将来的にプリズマティクスの『Barista(バリスタ)』に期待することとして、これらのスムーズな実現を挙げていただきました。

「検討段階で最もネックだったコストについては、プリズマティクスへ見積もりを取った段階からローンチまでの間に会員数も増加していましたが、それでもコントロール出来る範囲で収まっており、非常に助かっています。2024年10月には国外サービスをリリースする予定で(2024年8月インタビュー実施時点)、それにも『Barista(バリスタ)』を導入しています。運用上の課題や使いやすさというところは、自分たちもまさにこれから分かっていくフェーズだと思っています」(関根様)

プリズマティクスは今後も技術開発やサービス提供を通して、しまうまプリント会員ID統合、認証認可基盤構築の支援を進めて参ります。

株式会社しまうまプリント  執行役員 プロダクト開発部部長 関根 智 様

会社情報
会社名:株式会社しまうまプリント
東京本社所在地:東京都新宿区西新宿6-3-1 新宿アイランドウイング
設立:2010年
従業員数:279名(2024年1月時点、役員・臨時職員・出向を除く、株式会社しまうまプリントラボの従業員を含む)
主な事業:インターネット写真プリント・フォトブック・年賀状の生産