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株式会社コーセー

システムごとに異なる顧客IDの統合と認証基盤の導入で、顧客エンゲージメント向上を目指す

株式会社コーセー 情報統括部 マーケティングシステム課                

認証基盤顧客ID統合

化粧品やコスメタリー商品等の製造販売を事業領域の中心とし、独自の高い付加価値を持つ高級化粧品を強みとしている株式会社コーセー
。特に高付加価値のハイプレステージ領域や、プレステージ領域はもちろん、手頃な価格帯のコスメタリー商品においても独自の価値ある商品を提供することをポリシーとしています。近年は顧客の多様なニーズにきめ細かく対応するため、企業名を冠した「コーセーブランド」と、独自性の高い多彩なブランド群である「インディヴィデュアルブランド」を展開。さまざまな販売チャネルを通じて、多様な層へ多彩な価値観をもつ個性豊かなブランドを提供し続けています。

導入の目的
●システム(Webサイト・スマホアプリ・店舗システム)ごとに管理していた顧客IDを統合し一元管理
●システムごとに異る顧客認証を統一し、個人情報管理の強化
導入内容
●第一フェーズとして顧客情報統合基盤の構築、第二フェーズとして顧客ID認証基盤としての
『prismatix』導入
導入効果
●システム・ブランドごとに存在していた顧客IDが統一され、各サービスで「KOSE ID」が利用できるようになり、新たなマーケティングアプローチが可能に

多様な展開ブランドごとにウェブサイトやECサイト、店舗において各サービスの会員ID・顧客データを管理していたコーセーは、2016年からデータベース統合を検討しました。AWS総合支援を行うクラスメソッド(プリスマティクスグループ会社)でのAWSの導入&移行を行い(リンク:https://classmethod.jp/cases/kose-kose-cosmeport/)、更に2018年には顧客データ統合としての基盤となるAPIプラットフォーム『prismatix』を導入。約8つのブランドECサイトの顧客購買データ、更に店舗情報の一元管理を進めてきました。

データ統合を更に促進し、ブランドを横断した顧客へのエンゲージメント向上を目指すネクストステップとして、顧客ID統合のプロジェクトを開始。コーセーは2021年6月に「KOSE ID」をリリースしました。この認証基盤として『prismatix』が採用されました。本プロジェクトを進めてきた情報統括部マーケティングシステム課、課長 金澤様をはじめ、『prismatix』導入のプロジェクトメンバーである都賀谷様、佐藤様、横田様に、「KOSE ID」リリースに至る課題や今後の展開まで、詳しくお話を伺いました。

顧客ID認証基盤は、セキュリティ担保実績や開発スピードを決め手として選定

「コーセーでは、ブランドのECサイトや店頭システムなどでお客さまに関わる情報をシステム毎に管理しておりました。それぞれのシステム毎にはお客様の動向分析ができるものの、管理する顧客IDがシステム毎に異なるため、コーセー全体として1人のお客様がどのような嗜好を持っているのか把握することができないという課題がありました。」(情報統括部マーケティングシステム課課長 金澤様)

今後コーセーとして、顧客エンゲージメント向上を目指していく中で、顧客IDの統合は必要不可欠であることがグループ全体でも認識され、これを統合していく活動が始まりました。ID統合における認証基盤の選定については、セキュリティの確保、開発スピードなど様々な側面からいくつかの可能性を検討し、最終的に『prismatix』を選択しました。本プロジェクトをリードされた情報統括部マーケティングシステム課 都賀谷様は、開発目線での採用の決め手について以下のように語ってくれました。

「顧客ID認証基盤の構築にあたっては、フルスクラッチでの開発なども選択肢として挙がっていましたが、セキュリティがもっとも重要なファクターであると考え、セキュリティが確保できる既存サービスを利用するという判断をしました。また、今後のグローバル展開を視野に入れて海外での利用実績があることや、ビジネスロジックに合わせた柔軟な開発が可能であることも重要視しました。計画当初は、8ヶ月程度の期間を想定していましたので、開発期間が圧縮できることも期待して『prismatix』を選定することにしました」(都賀谷様)

これまで顧客情報統合基盤として『prismatix』を導入していたものの、認証基盤としての利用は初めてのことでした。他の選択肢もある中、今後のデータ利用、マーケティング展開などを考慮し、データベースとして『prismatix』と親和性の高い認証システムを導入した方が良いだろうという結論になりました。

コーセーとしては認証基盤を短期間で構築できないかを考えておりました。『prismatix』であれば、これまで顧客統合システム導入からお付き合い頂いていただいたこともありまして、短期間での開発が可能であったことが採用の決め手となりました。」(金澤様)

『prismatix』構築実績のある開発ベンダーによる協力体制

コーセーが初めて『prismatix』を導入した際には、社内エンジニアの佐藤様が中心となってプロジェクトを進められました。それぞれに管理していた8つのブランドECサイトの顧客購買データを同システム内に統合し、更にコーセーが各取引店舗に提供する店頭システムに存在する店舗毎の会員データの統合も必須でした。

「当時は『prismatix』利用が初めてであることに加え、知見を持っている人が周囲にいなかったこともあり、実際の構築フェーズではうまくいかないことも多かったです。その中、プリズマティクスのソリューションアーキテクトの方に疑問や課題の解決にお付き合いいただき、リリースまで多大なご支援をいただきました」(佐藤様)

一方、今回「KOSE ID」リリースに際してはプリズマティクスのSIパートナー、株式会社リヴァンプ社が開発を担当しました。コーセーとリヴァンプ社の間に元々取引があったことに加え、リヴァンプ社では『prismatix』を構築した開発実績がありました。こういったご縁もあり、非常にスムーズな開発を行うことができました。要件定義の段階からリヴァンプ社同席のもと、『prismatix』のどのサービスを利用するのか、またどのような構成にするかなどを詰めていきました。

「顧客購買データを統合した環境を生かして認証サービスを追加する方法も検討しましたが、機能やデータモデル等を考えるなかで新たな環境を構築することにしました。ある意味これまでのデータを捨てるという一つの大きな決断だったと思います。認証環境構築後は2つの環境を結びつけ、分析システムにデータ連携して利用しています。環境を『prismatix』に統一して実装したことで、より柔軟な活用が可能になったのではないかと思います。実際の開発に際しては、プリズマティクス社、リヴァンプ社から多大なご支援を頂きました」(都賀谷様)

「KOSE ID」として一般ユーザー向けにリリースされた2021年6月以降、顧客IDの統合は徐々に進んでいます。ユーザーに対してID統合を求めることは、その手間から離脱に繋がりかねないことでもあります。それらの課題に対して、いかにステップを減らしスムーズな移行ができるか、システムで実現できることとUXの観点とのバランスが今回のプロジェクトで一番苦労した点であることも都賀谷様にお話いただきました。

顧客統合の運用業務を担う横田様は、業務にて日々『prismatix』で構築した2つのシステムを横断的に利用されております。「KOSE ID」プロジェクトには途中からの参加となり、導入にも関わっていないものの、非常に分かり易くスムーズに利用できている旨を語ってくれました。

『prismatix』のメリットを生かし、顧客・店舗取引先様と信頼関係を築くシステム構築を

2020年から続くコロナ禍で店頭での購入が難しくなった地域もあり、オンライン購入の顧客は少しずつ増えています。オンラインでの認証を強化するという側面は、とりわけオンラインユーザーにとって影響が大きいです。そのためまずは、8つのブランドECサイトの顧客を1顧客=1IDとして統合することにフォーカスし「KOSE ID」をリリースしました。一方で、各取引店舗の「オフライン顧客のID」は、統合に至っておらず、今後の課題として取り組んでいく予定です。

「オンライン購入のお客さまは少しずつ増えていますが、店舗に来店され、商品をご購入されるお客さまはまだまだたくさんいらっしゃいます。今後のシステムの開発については、お客さまとコーセーが将来に渡って末永くお付き合いいただけるように、お客さま、取引先様とも信頼関係を築きながら、慎重に進めてさせていただきます。」(金澤様)

システム面での今後の展望としては、汎用性のあるAPIプラットフォームとしての『prismatix』のメリットを活用して、マーケティングに活かしていきたいという思いがあるようです。

「データ統合という第一フェーズに加え、『KOSE ID』リリースという第二フェーズの実装で、リアルタイムに会員データが連携できるようになりました。これらを活用しながら、今後はお客さまに提供する更なるサービス展開を考えています。『prismatix』の環境と、スクラッチ開発で構築した環境を合わせて“顧客データプラットフォーム(CDP)”として位置付け、育てていけたらいいなと思っています」(都賀谷様)

今後もプリズマティクスはコーセーの業務担当者への提案や支援を通して、中期経営計画の達成、新サービスの実現を目指して参ります。

マーケティングシステム課 課長 金澤 龍次様          

マーケティングシステム課  都賀谷 典子様 

マーケティングシステム課  佐藤 陽介様 

マーケティングシステム課  横田 晃喜様

会社情報
会社名:株式会社コーセー
本社所在地:東京都中央区日本橋3-6-2
設立:1946年3月
従業員数:14,403名(コーセーグループ連結、2021年3月期末 嘱託・パートを含む)
主な事業:化粧品、コスメタリー(注1)商品等の製造販売、/研究開発
※注1:コスメタリー:コスメティックとトイレタリーを組み合わせた造語